「…!!」




「ん…?」




「式終わったよ。」











3月、君は。
#3 ボタンの無い上着




















式に出るのはやっぱり面倒で、昨日と同じ校舎裏で寝て待っていたら、友達に叩き起こされた。
いつの間にか雨が降っていて、屋根の下で寝ていた私の制服も少し色濃くなっていた。




「…そう。」
「そう。じゃないよ!ほら、ボタン貰いに行きな?」
「いや、でも…」
「ほら!」




やや乱暴ににわたしを立ち上がらせて、正門前に引っ張っていく。
わたしをそこに立たせると友達は、“今日塾だから”とか言って帰っていった。
“ボタンは?”と聞くと、満面の笑みで握ったままの右手を振った。


「…あ、。」
「外間先輩」




予想通り、と言うかなんと言うか。
先輩の上着にはボタン1つ無かった。
泣きそうになる気持ちを堪えながら、無理に作った笑顔で言った。




「一緒に帰りません?」
「うん。」


あっさりとOKを貰って、二人で傘を差して(もちろん一人一本)帰り道についた。
なかなか気付く事は無かったけど、先輩は意外と背が高くて、わたしが傘を差すとギリギリ顔が見えるくらいだった。




「先輩」
「ん?」
「…ボタン、みんな取られちゃったんですか?」
「まあね。」
「…あーあ。わたしも外間先輩のボタン欲し…か…ったな…」
?」




ヤバイ。止まれ止まれ止まれ。
わざと明るく言ったつもりだったのに、途中から声が震えてた。
バレちゃったら…




「泣くなよ、。そんなに俺のボタン欲しかった?」
「は…い」




外間先輩は微笑んで、わたしを抱きしめた。




…え?


抱 き し め た ?





-To be continued.-