be lost in wild fancies

























自惚れた妄想なんてものは、結局誰もが持っているもの。
はたから見たら、わざわざそれにツっこむ必要もないと思う…けど。


コイツの場合は論外かと。








「弘樹。」


「…」


「ひ・ろ・き」


「…」


「ホクロ」


「…」


「妄想癖持ち下ネタ大好き変態ホクロマンさん」


「…」






…だめか。
弘樹は頬杖なんかついちゃって、わたしの方を見ようともしない。
ちょっと目を放すとすぐコレだ。妄想弘樹ワールドへようこそ。
あのー、弘樹さん?目がイっちゃってますけど?






「いい加減にしろッ」


「痛っ!!!」






頭ドついた。ら、目が戻った。
良かったね本当に逝っちゃわなくて。
弘樹は、頭の後ろをさすりながらわたしの方を恨めしげに見た。


…お、涙目。






「ぼーっとしてる弘樹が悪い」


「だからっていきなり叩く事ないじゃないですか」


「だってこうでもしないと弘樹気付かないじゃん」






無言で机に伏せる弘樹。
あれだ、こいつはきっとMだ。
…じゃあわたしはSか?






「痛い…俺の脳使えなくなったらどうすんの」


「何に使うのよ」


「妄想とか妄想とか妄想とか詩書きとか妄想とか妄想とか」


「自分で言う?」


「言う」






悪戯っぽく舌を出して笑った弘樹。
やばい、格好いいわ。惚れさす気?
もーとっくに惚れてますけど。






「ねー、弘樹。」


「なんデすカサン」


「ところどころ片言じゃん」


「気にしなイ」




やめとこ。
弘樹といられる時間なんて、まだまだいっぱいある。
それに、自分から告白って、なんか微妙な気がする。
わたしが惚れさせられたみたいで格好悪いじゃん(事実だけど
今度は、こっちから惚れさす。






「何妄想してたんですか」


「えー?俺とのラブラブライフ?」










突っ込む気も失せる。つーか、手間が省けた。














-END-