「もしもーし」


『…かっちゃん?』


「うん、?」


『うん。どうしたの?』


「今から…外出れない?山公来て。」




























本当の目的
















































いいよ。少し眠そうな声でが返事をしたのを確認して電話を切った。


俺は、さっきから寄りかかっていた鉄棒の上に座って、夜空を見上げた。




今、午前2時。こんな時間にこんな所に居るのは、なんでだろう。


空には、キラキラと星が輝いていて、暗いはずなのに眩しく感じた。






「かっ…ちゃん!!」


「こんばんわ。」






俺が今の時間に相応しいと思われる挨拶をしたのに、は不審な人を見るような目つきで俺の事を一瞬見た。
でもそれはいつものの通り、ふざけているだけだと思う。


…まあ、午前2時に電話で女友達を叩き起こして、その上夜の公園に来いって言った俺は不審者と何ら変わりは無いけど。








「何?」


「んー、いや。別に。」


「別にって…」


と一緒に星見たかったから、って言ったら嬉しい?」


「あまーい。あまいよ北尾くん。」


「えー、俺の台詞ギャグにするなよ。」


「嘘、嘘。うん、ちょっとは嬉しい。」


「そっかー。」






においでおいでをして、隣の一段低い鉄棒に座らせる。
ただでさえ背が低いは、俺より一回りも二回りも小さく見えた。






「かっちゃんさあ、何かあったの?」


「うん。彼女と別れてきた。」


「それで私を呼んだんですか?」


「慰めてもらおうと思って。本当の目的は他にあるけど。」


「ふーん」






こういう展開の場合、普通は“本当の目的”を聞き出そうとするのが人間というものだけど。
は、何故かその事については追求しなかった。




いつもと違う俺に遠慮しているのか。






はたまた、“本当の目的”が何なのか知っているのか。




まあ、後者はありえないだろう。俺はどうも感情を隠す癖があるらしい。
知っていたとしても、多分それは勘違いだと思う。








って今フリーなんだっけ。」


「何、人を余り物みたいに。」


「はいはい。で?」


「…フリーです。」


「あはは、やっぱねー。」


「やっぱって何!!!」












「 じ ゃ あ ・ ・ ・ 俺 と 付 き 合 わ な い ? 」












またの方を向きなおすと、は別に驚いた様子も無く、軽くため息をついていた。
まるで「嘘でしょ?」とでも言うように。
俺はたまらなくなって声をかけた。




…俺本気だよ?の事好きだよ。だから今日彼女と別れて…」






「知ってたよ。」






「知ってた…?」





「弘樹に聞いた。」





















あのクソホクロめ…いつかブッ飛ばしてやる…










「…じゃあ、答えは?」






「イエス。」








ちょっと照れたように俺の方を向いたは、今まで見たことも無いくらい可愛かった。
俺は鉄棒から飛び降りて、を地面に降ろして抱きしめた。








「かっちゃん、展開が早すぎませんか?」


「そうかな?」


「別にいいけど。」


「そっか。」








方向が同じと家に帰る途中、が俺に聞いた。




「かっちゃん、やっぱり本当の目的って告ることだったの?」


「うん。ちなみに最初言った『と一緒に星が見たかった』ってのも本当。」


「…ねぇ、弘樹殺しちゃ駄目だよ?」






「えー?どうしようかなー。」




「…!!!」








次の日、弘樹が俺の事を怯えた目つきで見たのは、気のせいじゃない、と思う。
















-END-










限りなく微妙ですけど。
でもカヅ氏はこんな感じでいいじゃないですか。