青春≒ベランダで
「なんか、あれだよね。」
昼休み。
皆で騒いでいる教室から少し離れたくて、ベランダに居た。
グランドでサッカーやら野球やらをしている生徒をぼーっと眺めていると、背後から声がしたんだ。
「…さん?」
「ご名答。」
さんは俺の隣まで来て、低めのフェンスに寄りかかった。
太陽の光が、フェンスに反射して目が痛い。
「あれって、どれ?」
口にしてみれば、なんだかとてもマヌケな言葉で。
ちょっと悔しくなって、意味も無く舌打ちをしたり。
さんは俺の方を向いて「ん゛ー…」と小さく唸って答えを生み出した。
「青春?」
「…はい?」
なんか俺、質問してばっかりだ。
いつもは人の上に立つスマイリーカズヒトなのに、どうもさんにはペースを崩される。
「いや…ベランダで二人って、さ。青春っぽい」
天然なのか、狙い済ましているのか。
でも、良く分からないさんに惹かれている自分も居て、余計に自分がおかしくなる。
「弘樹は…」
「ん?」
「弘樹だったら、きっとそう思うんだろーね。」
ほら見ろ。さんは少しキョトンとした顔になった。
―いつもさんの下に居るわけじゃないんだからな。
…でもさんはまた元の顔に戻って、俺に勝るとも言えよう笑顔で言い放った。
「私、外間くんより北尾くんの方が好き。」
「…えっ…と…それは…?」
「告白?」
「じゃあ俺もさん…の事好き。」
「知ってた。」
ほらまた。俺のペースを崩すの上手いんだから。
そのあと、教室の中に居た弘樹達に見られて、散々からかわれたことは言うまでもない。
-END-
あれだ。やっぱりカッチャンは青春だ。
学校が似合うよ。ガクランとか似合いそうじゃん。