中途半端なハーフハーフ




































「ねぇ。俺の事好き?」


そう言って彼があたしの頬に手を当てる。少しずつ距離を縮めながら。


「大嫌い。」


そう言って少しずつ縮まっていた距離を一気にゼロにして、彼の唇にあたしの唇を重ねる。
ついでに彼の首に手を回して、彼もあたしの背中に手を回して。




いつもの、直人のキスのおねだり。
屋上でフェンスに寄りかかって携帯弄ったり、2人で話したりして。
話題が切れて一瞬の沈黙が流れると、直人はこう言う。


いつだったけ、直人が「それあまのじゃくって言うんだよ」とか言ってた。




「大嫌いならキスしなきゃいいのに。」


ほら、また。


「だって、して欲しいんでしょ。」


「俺からしたいんだよ。けどさ、ゆっくりやってんのに、いきなりが自分からするんじゃん。」


「それが望みのくせに。」




悪戯な笑みを浮かべて首を傾げる直人。
あたしはバツが悪くなって目を逸らして、コーヒー牛乳をすする。
ひなたと日陰の間にちょうど置いていたパックは、半分が暖かくて半分は冷たくて、中身は生暖かくて、きもちわるい。
いつもそうだ(コーヒー牛乳じゃなくて)。
直人のあの顔を見ると、自分が悪い事をしたような気分になって、目を逸らす。




「ねえ、付き合わないの?俺たち。」


「やだよ。だってあたし直人のこと大嫌いだもん。」


「キスはするのに。」


「それとこれとは別。」




ふーん。直人はあたしの手にあったコーヒー牛乳を飲んで顔をしかめる。




「きもちわるい」




あたしはまたさっきの定位置にパックを置く。もちろん、暖かいとこと冷たいとこはちゃんと分けて。
黒っぽいとこと白っぽいところの境界線をまたぐように置いたそれは、心なしか不機嫌に見える。


ふと顔を上げれば、いきなり直人の顔が飛び込んできて、キスをした。
一瞬吃驚したものの、あたしの心はやけに冷静でいる。




「へたくそ」


直人の伸ばした足の上に乗って、直人の目を覗き込んだ。
けど、恥ずかしくて少しだけ目を逸らしたのはあたしの秘密。


「とか言いながら顔赤いよ?。」


「知らないよ」


直人はふっと微笑んであたしの髪を梳く。




「ねぇ。俺の事好き?」


そう言って彼があたしの頬に手を当てる。少しずつ距離を縮めながら。


「大嫌い。」


そう言って少しずつ縮まっていた距離を一気にゼロにして、彼の唇にあたしの唇を重ねる。
ついでに彼の首に手を回して、彼もあたしの背中に手を回して。




今日もあたしは、半々のコーヒー牛乳みたいなきもちわるい感情を抱えながら、直人とキスをする。