one morning









































パイプベッドの軋む音と、唇に当たる柔らかいものの感触で目が覚めた。
まだ夢の中で泳いでいたいと、拒否するように体を横に向けると、くくくっと低い音で誰かが笑うのが聞こえた。






「起きろよ」




笑いを堪えたような声で私を呼ぶ声が聞こえ、渋々目を開けた。
目の前には、涼がいて、いまだに笑いを堪えきれずに居るようだった。




「はよ」


「…おはよ」








その姿に少しムッとしてまた目を閉じようとすると、涼に起こされ、抱きしめられた。
暖かさと涼の匂いが、心地良い。
しかし、起き上がると腰に鈍い痛みを感じ、嫌でも昨日の事を思い出さざるを得なかった。


顔をしかめていると、涼がそれに気付いて頭を撫でた。






「痛い?」


「…めちゃめちゃ」


「お疲れさんでした」


「疲れたー」








涼はまた私の唇と瞼に3回キスして、私の肩に顔を埋めた。
駄々をこねる子供のように、私の体を軽く前後に揺らした。









「ん?」


「俺、今とてつもなく幸せ。」


「私も。…痛いけど。」




だからごめんって。言ってから涼は苦笑して、ベッドから降りた。
ぐっと伸びをして、軽く低音で唸った。




「寝ててもいいよ。今日休みだろ」


「ご飯作るし」


「あー…そっか。洋、今日帰ってくるから洋に作らせる、とかは?」


「んーん。動かないと本当に腰おかしくなりそう」


「ごめんって」


「涼は悪くないから」




涼は子供のように笑って、私に手をさし伸ばした。
私が手を握ると、勢い良く引っ張って私を立たせた。
その反動で涼の胸に倒れこむと、強く抱きしめられた。













「何?」


「俺、マジでのこと好き」


「好きなだけ?」


「…愛してるよ、


「合格」


は?」


「…どうかなー」




なんだよそれー、と涼がため息をついて私を離した。
私は涼をベッドに座らせて耳元で言った。








「嘘。私も愛してる。涼のこと、世界で一番。」


「…どーも」






そう言った涼の顔は真っ赤で、私も笑った。


…と、ドアの開く音がした。










「…朝からラブラブですこと」


「悪ぃかよ」




べっつにー。と洋兄が不貞腐れて部屋から出て行くとき、軽く舌打ちしたのを聞き逃さなかった。
涼が軽く悪態をついて、私をベッドに倒した。








「涼?」


「ねえ、洋もああ言ってることだし、いっそのこと「嫌」


「即答かよ」


「腰痛いもん」




渋々涼がベッドから降りて、私を抱き起こした。
また痛みが襲ってきて、思わず顔をしかめると、涼が申し訳なさそうに両手を合わせた。










…洋の呟き…
とりあえず俺の前でラブラブするのはヤメテくれ…














-END-