君に届け
“だっていつも僕等は繋がっているんだ”
「僕等はいつも以心伝心〜♪」
愛する人の歌声を聴きながら、私は電話を手にした。
大和の電話番号を押して、通話ボタンを押す。
コール音が鳴る間、コンポの音量を少し上げた。
―電話越しに聞こえるように。
『もしもーし。』
「あ、大和?」
『うん。どーした?』
「いや…声聞きたくなったから。今仕事?」
『や…ちょうど休憩に入ったとこ』
「そう」
一瞬の沈黙が流れて、私の耳には「以心電信」だけが聞こえていた。
大和にも聞こえているだろうか。
『ちょっ…恥ずかしいんだけど』
「え〜?何が?」
聞こえてたか。
大和のパートに入る直前で、また音量を上げた。
電話の向こう側で慌てている姿が目に浮かんだ。
『止めろよ!』
「やーなこった」
『分かった、分かったから!!明日会いに行くから!!』
どうしたって止めてほしいらしい。
まあ…きてくれるのは嬉しいけど…
「え?別にいいよ来なくても。」
『なんで!?』
「だっていつも僕等は繋がっているんだ〜♪」
『!!頼むから!!』
「じゃあね。切るよ。」
『待っ…』
ブツッ…
きっと今電話の向こうで大和が慌てまくっているんだろうな。
私は一度電話を切って、直人にかけなおした。
「あ、直人?」
『あれ?。珍しい』
「いや…今大和どんな感じ?」
『え…?携帯片手に狂ったように通話ボタン押してるけど?』
「あー…直人、しばらく話してよっか。」
『いいよー。』
直人にも曲が聞こえたようだけど、直人は『やっぱ最高だよね俺らの曲』とか言ってた。
しばらく大和からのキャッチがあったけど、もちろん全シカト。
-END-
大袈裟。シャイやーま。
いいじゃん曲くらい聞いても。ねえ?