プラス
大和が家に来た。
ソファに座って、ホットミルクを飲んでいる。あ、猫みたい。
そんな大和がかわいくて、となりに座ったわたしの顔もゆるむ。
大和の頬を軽くたたくと、大和は「何だよー」と言ってソファの端まで移動した。
「おいで、。」
自分から移動したくせに、大和はわたしを手招きした。
わたしは自分のココアを置いて、大和の方に移動した。
大和がミルクを置いて両手を広げたから、わたしはいつも通り抱きついた。
大和も少し強く、でも痛くないほどにわたしを抱きしめた。
「ねえ、大和。聞いた事ある?」
「ん?」
「人生って、生まれてから死ぬまでの“幸せ”と“悲しみ”を全部足すと、結局プラスマイナスゼロになるんだよ。」
「へー…」
「今こんなに幸せなんだもん、いつかそれだけの悲しみがあるってことだよね。」
大和の方を向いて、悲しげな笑顔を作って見せた。
大和は、複雑な表情をしてわたしをもっと強く抱きしめた。
「嫌だよ、そんなん。」
「うん。」
「俺がの人生変えてやるよ。ゼロどころか、プラス一億ぐらいにする。」
「ありがと」
大和は、わたしを一回離してホットミルクに手をやった。
一口飲んで、遠くを見つめるような顔をして、大和は言った。
「…Life is what you make it」
「何?」
「『人生は己で造る』…だって。後輩の受け売り。」
「ちょっと違わない?」
「いいのいいの。」
大和は少し顔を赤くして、もう一度わたしを抱きしめた。
わたしが顔を上げると、大和がじっと見つめてきた。
「…」
わたしが何も言わずに黙っていると、OKのサインだと思ったのか、大和がわたしにキスをした。
「…あまっ」
「ココア飲んでたからね」
「、結婚しよっか。」
「…うん。」
大和がわたしの手に小さな箱を握らせた。
中身は…分かってたけど小さなリング。小さいながらもダイアモンドがついていて、センスがいい。
「給料の3ヶ月分なんてもんじゃないけど。」
「がんばったね、大和。ありがと。」
わたしが大和の頬にキスすると、大和は顔を赤くしてわたしの左手薬指にリングをはめた。
-END-
可愛いやーま。
“後輩”は涼ちですよ。
「Life is what you make it.」
螺旋の歌詞にもありました。