酒のチカラ











































「ただいまー」


玄関のドアを開けながら、私は中に向かって声をかける。
洋、帰ってるかな。
明かりがついているらしい部屋を前に、洋の姿を思い浮かべた。




「おかえり、。」




部屋のドアを開けると、洋がソファに座ってこっちを振り向いた。
洋の姿に、私は安堵し、荷物を置く。


「洋、早かったんだね。すぐご飯の用意するから。」


「んー」


「どう、新曲の方は?」


「いい感じー…」


「…洋?」




おかしい。
いつもの洋じゃない。
普段は絶対出さない甘えたような声。
心なしか顔も少し赤いし、いつもよりニコニコしている。
まるで、かっちゃんみたいだ。
その姿からは、普段のクールな洋は想像できなかった。


よく見てみれば、洋の座っているソファの前のガラステーブルの上に何か乗っている。
…チューハイ?ジュースみたいな缶だけど…明らかにアルコールの匂いがする。




洋の隣に移動して、缶の中に残っている液体を少し口に入れた。




「…っ何!」






予想以上にアルコールが強くて、私はむせてしまった。
いくつか転がっている空き缶を見て、私は状況を把握し始めた。




「…ねえ、洋?」


「ん、何?」




そう言いながらも、洋は隣にいる私の腰に手を回す。
缶の中身と同じ匂い…考えていたことが確信に変わった。




「…飲んだ?」


「ちょっとだけ」












…この状況のどこがちょっとだけなんですか兄さん。
洋…完全に酔ってるよね。




「なんで飲んだの?弱いくせに…」


が早く帰って来ねぇから」


「…関係ないよ」


「ある」






確かかっちゃんが、『洋は酔ったら手がつけられなくなる』って言ってたような気が。




…どどどどんな風に手がつけられなくなるんですか!!?









「…はい?」


「晩御飯はいらないからさ」


「…へ?」


「…が食べたい。」










…あぁ、こういう風になるのね。














…ってオイ!














-end-










チズバタ見てから、どうしても洋兄の酔ネタしか浮かんでこない。
別バージョンでもう一個あるんですけど。似すぎてて出せない。
どっちも気に入ってるからなあ…
出して欲しいって意見があれば出すかもしれません。