酒のチカラ つー
「かんぱぁーい」
大和の声が部屋中に響く。何度目のカンパイなのよ、もう。
直人、弘樹は大和と一緒に馬鹿騒ぎしながらビールを何本か開けおわっている。
3人とも顔を真っ赤にして…すっかり酔いが回っているらしい。
かっちゃんはチューハイを手に、涼と談笑している。
(きっと涼はもう酔ってる、顔赤いし)(未成年!)
私はといえば、ちょうど良い具合に酔いが回って来て、洋の隣に座っていた。
洋は見かけによらず酒に弱いけどあまり飲んでいない(らしい)ため、今だシラフに近い(ハズ)。
「洋ぉ」
「甘ったるい声だな、おい。」
「えへへー」
「カズみたい」
くくく…洋は堪えながら笑う。
隣と言っても、洋と私はソファの端と端に近い距離。
そりゃそうだ。別に彼女でもないのに、ピッタリくっついて座るなんて。
まあ、彼女と言うのは私の理想でもあるんだけど…
「なにー?俺がなんだって?」
いつの間に涼から離れたのか、かっちゃんが軽くフラつきながらこっちに来て、洋と私の顔を交互に見ながら言う。
(涼がせんぱいー?とか言ってるな)
「いや、が酔ってカズみたいになってるって」
「ほんとだ。」
「えー?」
「かわいー!」
「…カズが二人いるよ…」
かっちゃんはまた、今度は私の前にあったビール片手に涼の元へ。
多分涼に飲ませたのはかっちゃんだろう。
「…ね、洋?」
「ん?」
「私ね、洋のことすきだよ。」
「へー…」
あまりにも普通すぎる(ようにみえる)洋のリアクションに、私は息をついてかっちゃんの残したチューハイに手を伸ばした。(あ、間接ちゅーだ)
結構本気だったんだけどなー…
そんなことを考えていたら、肩に重みを感じた。
「ね、俺ものこと、すき」
いつの間にか近くに来ていた洋が、私の肩に頭を預けて喋った。
小刻みに洋の頭が揺れる。
あー…これは…
「洋、もしかして酔ってる?」
「…えへへー」
「洋、変。」
洋は無言で、私の首に腕を回して首元に顔を軽く埋めた(うわっ、腕細っ)。
サラサラの洋の髪が顔に当たる。
それなりにがっしりしてる洋の腕の中は、暖かくて。
そのぬくもりがなんだか恥ずかしくて、すっかり酔いが醒めてしまったけど。
顔が赤くなるのを感じ、少しうつむいた。
「なあ、」
「…っん」
洋に名前を呼ばれて顔を上げると、唇に軽くキスをされた。
「やべー、マジかわいー…」
「恥ずかしいって…」
「いーじゃん。俺、の事すきだし。それにも…」
洋がちょっと顔を膨らます。
酒というのは人間をここまで変えてしまうのか。
可愛いけど、それよりも、
「そーじゃなくて。」
「…ん?」
「…みんな見てる。」
嗚呼、視線が痛い(皆酔ってんじゃなかったのかよ)!
-end-
「酒のチカラ」ぱーとつー。
拍手のコメでリクエストありましたので書きましたー。
コッチのほうがお気に入りだったりするんですが、これの方が思いつくの後だったんで。
どすか、こんなん。