秘密のFriend






















周知の事実、とは例えばこんなことだ。
宮森には可愛い彼女がいること。
あたしには年下の彼氏がいること。
そして宮森とあたしはただのクラスメイトであること。


しかし逆に、皆が知らないコトだってある。
例えば、
宮森とあたしが、こうして度々肌を重ねていること。


そういうことを思い出してあたしは、宮森の腕の中で罪悪感でいっぱいになるんだ。
目を瞑ってんーとかうーとか小さく唸りながら、たまにあたしにキスしたり。
もう寝そうなくらいに瞼が下がっている宮森の、筋肉質な腕に頭を預ける。
(細いくせに、こんなとこばっか男の子なんだから)


、どした?」


あたしが変な顔をしていたのかもしれない。
宮森は目を開けて、あたしを見た。


「宮森はさ、」
「うん」
「罪悪感とか無いの?」


宮森は考えるような顔になった。
それも一瞬のことで、すぐにあたしをきつく抱きしめた。


「シてる時は名前で呼んでくれてるのにな。」
「・・・?」
「なんでお前、いまだに俺のこと“宮森”なんだよ」
「質問に答えてよね」


宮森はふーっ、と息を吐いた。
そのため息がどんな理由で彼から吐き出されたものなのか、あたしには分からなかった。


「無いよ。・・・」


どうして。あたしは罪悪感でいっぱいなのに。
宮森は小さな声で何かを呟いたけど、あたしにはそれが聞こえなかった。
もしかしたら、聞こうとしなかったのかもしれないけど。
それは、宮森はおろか、あたしにだって分からない。


「・・・やっぱいいや」


めんどくさそうに宮森が呟く。
そしてあたしが、小さく笑って(それは嘲笑であったり、様々だけれども)。
宮森があたしの首筋に小さくキスを落とす。
あたしがゆっくりと、宮森の首に手を回す。




そうして、あたしたちの秘密の時間は幕を開ける。














Fin.